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Foes 2:1 FXR / XCT 5

2007年09月13日 16:23 written by Teisuke Morimoto

フォーズは常にMTB界に革新を起こして来た存在であり、その伝説は歴史の一部として存在するのでは無く、今でも普通に店頭でフレームを購入することができる、生きる伝説だ。


90年代半ばから世界中で色々なメーカーがDHフレームに挑戦し、マーケットに送り出して来たが現在まで生き残っているのはほんの一握りだ。その中でもフォーズは草分けとも言える存在で、アメリカ製にこだわり、現在までブレント・フォーズという一人のカリスマが率いて来た。


レースの世界でも過去にはミッシー・ジョーヴィー、ネイザン・ランキン、ジャレッド・ランドーがチームに参加しており、この数年はフォーズとしてのレーシングチームの活動が無かったが、今季からコディ・ウォレンがチームに加入、NMBSでは優勝を遂げてレース界でも再び存在感を高めている。


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コディー・ウォレン。シーオッタークラッシックのスラロームにて。


フォーズが現在、ほとんどのモデルに採用しているシステムが2:1と呼ばれるシステムで、現在のフォーズのアイデンティティとも言える。2:1とはリアサスペンションのリンク比を現し、例えば後輪のトラベル量が200mmなら、リアニットのストロークは100mmが必要とされる。ほとんどの他メーカーは3:1のリンク比を採用しており、200mmトラベルに対してリアユニットに必要とされるストロークは約66mmとなる。


なぜフォーズは他メーカーよりも低いリンク比を採用しているのか?それは、リアサスペンションのピストンスピードを速くすることが可能だからという点にある。2:1なら200mmトラベルに対して100mのピストンストロークが発生するが、3:1なら200mmトラベルに対して66mピストンストロークが発生するに過ぎない。これでは、細かなバンプなどで十分な減衰力を発生させることができず、また入力後の減衰力の発生も遅いため狙った効果やセッティングが出しにくいというデメリットがあるのだ。また、ライダー側には、2:1システムではバイクの挙動が掴みやすく、不意な後輪のスリップなどの際にも立て直しを容易にするというメリットもあるという。


もちろん、デメリットも存在する。100mmのストロークを持つリアサスペンションユニットを収めるにはスペースを必要とするため、フレームをデザインする上ではかなりの制約が生じる。また、MTBに装着可能な長い取り付け長を持つリアサスペンションユニットがマーケットには存在しない。そして、長いリアサスペンションユニットは重量増を意味する。


しかし、フォーズは全ての問題を解決した。まず、フレームのデザインは複雑なリンクを必要としないシンプルなシングルピボットタイプを採用し、またリアバックを三角形の構造体とすることで剛性を確保、そしてトップチューブ下にリアサスペンションユニットを収めた。そして、リアユニットはオフロードレーシングの世界で40年以上の歴史を持つカーナッツ社と共同開発して専用モデルを設計した。そして、重量面ではエアサスペンションを開発することにより、通常のコイルオーバータイプの約半分にまで軽量化することに成功している。具体的には6インチのチタンスプリングを使用したコイルオーバーで1,040g、エアーサスペンションで660gだ。400gの差は相当大きい。


実はエアーサスペンションこそ自転車用の究極のサスペンションと言う設計者は多い。圧倒的に軽量、エア圧により自由にスプリングレートを変更可能と言う点は最大の利点だ。バイクの軽量化という手法としてレースでも用いられることも多く、実際に昨年のシーオッタークラッシックではペダリングが多く、コンディションの悪かったコースに合わせてサム・ヒルのバイクにはエアサスペンションが装着されていた


DHでは十分な容量を確保することができず、完全に実戦投入しているメーカーは少ないものの、4〜6インチトラベル前後を持つバイクに装着されるエアサスペンションユニットは十分に実用範囲にまで熟成されており、各メーカーからリリースされている。今回試乗した2:1 FXR / XCT 5にはエアサスペンションユニットとして異例とも言える長さのユニットが装着されており、このユニットと、2:1システムの組み合わせには大きな興味が持てる所だ。今回は富士見パノラマCコースにてこの2台の試乗を行った。


まず、最初はXCT 5から。このモデルは昨年のインターバイクで発表されたばかりの5インチストロークを持つ新モデルで、もう一つ下にXCT 4という4インチストロークの重量も見た目もほぼ同じのモデルが存在するが、バリューフォーマネーでこちらの5インチモデルを選ぶユーザーが多いという。同社の歴史の中で、始めてXCの名前をモデル名に冠した。筆者は昨年のインターバイクでこのバイクを見ているが、展示車両は完全にアグレッシブXC〜オールマウンテンを意識されたセットアップになっていたが、試乗車は完全ショートトラック〜4Xを意識した使用で組まれていた。このモデルの本来の趣旨から若干外れていると言えるが、富士見Cコースを走るには丁度いいだろう。


バイクにまたがる前に、サドルを押してリアサスペンションの動きを確かめて見るが、固いと一般的に言われているが、確かに固い。ゴンドラ乗り場までのアスファルトの登りでもリアがストロークしている感覚がほとんど無く、感覚的には3インチ前後のバイクにしか感じない。つまり、スイスイと登るのだ。この感覚が、ゴンドラの中で不安にさせる。やはりこれはアグレッシブXCモデルに過ぎないのだろうか?


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今回の試乗車は4X仕様。Sサイズ。Cコースにはジャストだった。リアニットの大きさが判る。


Cコースをスタートした直後に短い区間、フラットなセクションがあるが、ここでも軽快にペダリングができ、筆者のジャストサイズよりも一つ小さなサイズということもあって、取り回しは非常に軽い。そして、本格的な下りに入るが、驚かせることに、リアのストローク感を感じさせないのに、ショック吸収性能が素晴らしい。少々荒れているセクションでもサスペンション任せで突入しても問題無い。しかも、5インチのストロークは底なしと思わせるほど懐が深く、ボトムアウトするという危機感は感じさせない。リアサスペンションの性能に助けられてスピードを普段よりも上げて走ってみるが、次第にフロントフォークとのバランスの悪さを感じさせる。簡単に言うと、フロントフォークがフレームに負けて剛性不足を露呈させてしまったのだ。具体的には腕が上がってしまう。


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メーカーのカタログ仕様はこのような仕様となる。本来はアグレッシブXC〜オールマウンテンがターゲットのモデルだ。カーナッツのエアサスペンションユニットはオプションとなる。


このフレームをCコースを気持ち良く走らせるには最低でも20mmアクスルは欲しい所だろう。間違えて貰いたくないのは、このフォークが決して剛性不足だと言う訳では無いということだ。XCT 5との組み合わせでCコースをクルージングするには組み合わせが悪いということだ。フレームの剛性感が高いこともこのマッチングの悪さを際だたせる。具体的にはオールマウンテンSL1位がベストマッチでは無いだろうか。


フォークのマッチングの悪さを別にしても、このバイクのストローク感の懐深さと、取り回しの軽さは際だっていた。アウト側のバンクでは無く、イン側の低いバンクに敢えて突入してコンパクトに曲がってみたり、自由自在だ。また、後輪が滑り出す感覚も非常に分かりやすく、足を出してコーナーをアグレッシブに曲がるのも非常に楽しかった。2:1恐るべしだ。


次はFXRだ。このバイクはダウンチューブにイーストンのダブルバテッドチューブを採用し、トップチューブは自社工場によるモノコック成形になっている。この、自社製というのがミソで、現在ではほとんどのメーカーが中国から供給されるチュービングをフレームに採用しているが、結果的に同じチュービングを使用することによってバイクの見た目までが似てしまうことが多い。しかし、フォーズは自社でチュービングを加工することにより独自のフォルムを作り出すことに成功している。


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こちらもかなり下りを意識してセットアップされた仕様。


この試乗車も4Xを意識したセットアップがされている。ゴンドラまでの登りも先ほどのXCT 5に比べてもフォークのストロークが長くセッティングされているためか、マッタリ感がありビッグバイクだと感じさせられる。しかし実際にフレーム単体重量はXCT 5と比べて若干重いだけで、それほど変わらないという。1インチの違いでここまでバイクの方向性を変えるのはさすがと言えるだろう。


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メーカーのカタログではフロントに3枚が与えられ、完全にオールマウンテン仕様だ。同社のラインナップにはさらに7.5"のINFERNO、8-9"のFLYが存在するため、このFXRはどちらかというと登り優先に振られていると言える。


ペダリングの軽快感は若干削がれるものの、リアサスペンションの底なし感は更に大きくなり、ますます懐の深さを見せる。しかしバイクに乗せられている感が強くなり、Cコースでは完全に役不足と言えた。おそらく、Bコース、Aコースさえもそつなくこなすことができるだろう。DHマラソンなどには最高の相棒になる。


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XCT 5のエアチャンバー。


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FXRのエアチャンバー。XCT 5のものと比較すると、FXRの方が容量が大きい。専用設計ならでは強みで、モデルに合わせてユニットの性格を変えているのだ。


この2モデルの試乗を振り返ると、XCT 5を試乗したことにより、XCT 4にも試乗したくなった。XCT 5の5インチストロークはその数字以上にストローク感があり、XCT 4の4インチでも十分な懐の深さがあり、より軽快な取り回しが可能なのではないか?と予感させるのだ。また、XCT 5も筆者にジャストサイズのMサイズでトレールライディングを楽しんでみたいという欲望にも駆られた。日本のトレールライディングや大滝などのエピックライドにも最適だろうと予想される。


FXRは下りを優先しながらも、登り性能を犠牲にしたくない、ハードコアライダー向けだ。年に5回ほど富士見、冬は下りメインのトレールライディング、そして年に1度のDHマラソンと言ったライダーにはこれ1台あれば問題無い。登り性能は、4インチクラスバイクにも負けないほどスカスカと良く登ってくれる。しかも、下り性能はエリートクラスのDHライダーをも満足させる事ができるだろう。フロントトライアングルの剛性感はXCT 4よりもずいぶんと高かった。


両モデルに共通して言えるのは、とにかく、剛性の高いリアバックと、衝撃吸収性の高い2:1システムの組み合わせは最高に気持ちが良いのだ。代理店の方向性ゆえ、仕方の無い部分もあるが、2台共が4X仕様で組まれていたのが非常に悔やまれる。また、フォーズ自体も長年DHフレームを得意して来たため、6年の歳月を掛けて開発されたこの2モデルも下り用途がメインだと勘違いされている部分も多いだろう。今回の2モデルは下りが得意なのはもちろんだが、アグレッシブXC、オールマウンテンなどのシチュエーションで最高のパフォーマンスを発揮するモデルだ。もはやフォーズは下り専門メーカーでは無く、いつの間にかフルラインナップを揃える総合バイクカンパニーへと成長していたのだ。それを今回は思い知らされることとなった。新しいアグレッシブXC〜オールマウンテンバイクをお探しの方は、今後はフォーズを選択肢に入れて貰いたい。


FOES 2007
http://www.diatechproducts.com/foes/foes.html


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