ホーム > ニュース

Jシリーズ DH#3 ウィングヒルズ白鳥大会レポート

2007年08月21日 19:01 written by Teisuke Morimoto

今大会は例年とは異なり、YansことベテランDHライダー、柳原康弘氏が大会をディレクションし、実際のコースレイアウトには今シーズンより登録選手から退いた丸山由紀夫が携わった。


日本のDHレースに黎明期から参加し、国内のレースのあり方に苛立ちを覚えながら、それを隠さずメディアで発信し続けていた男、柳原氏が自らの理想、そして現実にも即した形でどのようなコースを作り上げるのか非常に注目が集まる所だったが、その結果はエリート男子専用コースと言う形で結実した。スタート直後にエリート男子以外は左のジープロードに降ろされ、ジープロードが終わった後にはウッドチップのバーンを左右に振られながら降り、そこでエリートのコースと合流し、ゴンドラ架線の下を走った後に再びゴールまで分岐する。難易度は非常に低く、初心者には最適であるものの、女子エリートのトップ、男子エキスパートのトップには耐え難い退屈なコースと感じた選手も存在しただろう。


IMG_1620.JPG
ウッドチップのセクション。スピードを乗せるのが難しい、フィジカル面も要求されるセクションだ。エリート男子は使用しなかった。


IMG_1849.JPG
「黒土」と呼ばれる白鳥名物のシングルトラック。エリート男子の専用セクションとなった。例年、雨などが降ると難易度が上がり、大渋滞して満足に練習ができない場合が多い。今回は専用コースとなったため渋滞はほぼ見られなかった。


さて、レースは前日の土曜日は記録的な猛暑に見舞われ、コースは一部のシングルトラックを除いて完全にドライとなり、砂埃が舞う海外コースのようなコンディションとなり、それは日曜日も変わらなかった。しかし、12時10分の女子エリート予選が近づいた頃から雲が立ちこめ、遠くの山にははっきりと雷が確認できるようになり、雷警報が発令され、ゴンドラもストップしてしまう。雨は結局降らなかったものの、40分ほどスケジュールが押しての予選スタートとなった。


女子は末政実緒が予選1位を獲得したものの、2位の猪俣浩子との差はわずか2秒。普段のJシリーズで考えられない「僅差」となった。この辺りにも難易度が低く、テクニックの差が出にくいコースの特徴が現れた。男子は安達靖が予選1位を獲得し、これで3戦連続の予選1位獲得となる。2位には青木卓也が入り、自己最高を更新。安達は全日本で転倒して2位、青木は予選でパンクするなど、この二人は前戦で悔しい思いをしている。3位に内嶋亮となり、三強の一角である井手川直樹は黒土の入り口で大転倒を喫し、21位だった。井手川はアジア戦で足首の靱帯を切っており、テーピングで固められた状態で、可動域が少ない状態で挑んでおり、本人は大きな影響は否定するものの、完全な状態では無い様に見えた。


IMG_1779.JPG
転倒から復帰した直後の井手川。Fフェンダーが曲がってしまっている。


IMG_1820.JPG
予選2位の青木卓也。


15時5分に女子決勝がスタート、最初の走者の中川ヒロカからスタートする。予選4位だった渡辺キャリーが自身の予選タイムを7秒も縮める4:22.816でゴールしてホットシートに座ると、飯塚朋子、猪俣浩子もそのタイムを上回ることができず、最終走者である末政実緒を待つだけに。しかし、姿を見せた末政はホイールから異音が出ており、パンクを喫していた。そのまま全力でゴールするものの、4:25.960で4位、2005年の白鳥大会以来の国内大会での敗北となった。また、Jシリーズで表彰台に乗ることが出来なかったのは1998年のMTBデビュー以降、数えるほどのはずだ。国内で敗北することに慣れていない末政は、ゴール後、しばらく立ち上がることができなかった。


IMG_1937.JPG
最終コーナーでの末政。パンクのためか、キャンバーで流れてしまっている。


IMG_1926.JPG
優勝した渡辺キャリー。フィジカル面が要求される、オールドスクールなコースでは強さを発揮する。


IMG_1934.JPG
久しぶりに姿を見せた猪俣浩子は2位。


IMG_1930.JPG
飯塚朋子が3位に。


男子決勝は15時30分に予選30位の武井怜緒奈からスタート、予選パンクにより10番手スタートの井手川直樹は前輪をパンクしてしまい、3:58.076に終わる。高橋唯之が3:16.574を出し、ホットシートに座り続けるも、櫻井孝太が3:14.080でその座を奪い、三宅和之、柴田幸治、和田良平、向原健司が次々に更新する。そしてが3:05.523で内嶋亮がトップタイムを更新して残るは2名。予選2位だった青木卓也は落ち着いて攻めることが出来ず、2コーナーではペダルをヒットしてアクスルを曲げてしまうなど、ドタバタの走りに終始し、予選を下回る3:09.398のタイムとなる。最後のライダー、安達靖がゴールした瞬間、ゴールエリアは歓声でどよめいた。3:04.971で安達の昨年に続く白鳥2連勝が決まった。


「結構ミスったんだよね。スタート直後にペダルが外れたり、ラインをミスったりとかあったけど、まぁー攻めたね。自分の中では微妙だったけど攻めて走れたし良かったね」


とゴール後に語ったように、攻めきった充実感を見せた。全日本選手権は惜しくも2位で敗北しているだけに、喜びはひとしおだった。これでナショナルランキング、Jシリーズランキング共に1位に浮上し、2冠も現実味を帯びて来た。


IMG_1772.JPG
予選で黒土セクションを通過する安達靖。三強の中で唯一センターのラインを選択した。


IMG_1954.JPG
前輪をパンクさせてしまった井手川直樹。


IMG_1994.JPG
最終リザルトは6位だったものの、残り2戦に期待が持てる青木卓也。


IMG_1989.JPG
3位に入り、開幕戦に続き三強の一角を崩した向原健司。Jシリーズランキングは3位に浮上。


IMG_1986.JPG
全日本では1コーナーで転倒するなど攻めすぎの傾向があるため、抑えめで走った所、押さえすぎのためタイムが伸びず7位に。永田隼也。


IMG_1991.JPG
僅差での2位に悔しそうではあったものの、表情は明るかった内嶋亮。


IMG_1987.JPG
今シーズは三強に迫る走りを見せる和田良平は4位に。表彰台は近い。


IMG_1982.JPG
今シーズンは表彰台が遠い柴田幸治。5位。


IMG_1592.JPG
今シーズンは完全復活の三宅和之。8位。


IMG_2021.JPG
女子表彰


IMG_2050.JPG
男子表彰


今回のエリート男子専用コースに対しては、downhillagogo.comで以下の様にレポートされている。


女子エリート全員で今回のコース設定に関して、協会に抗議してました。


女子エリート選手からは大不評だったようだが、否定的な意見が大多数を占めた訳では無く、内嶋亮は今回のエリート男子専用コースに対して高い評価を与えた。


「土質がモンサンタンに似た、こういう所でレースすることによってレベルが上がって、海外で少しでも通用するようになれば。エリート男子専用コースは事故の問題とか、自分のペースで走れるっていう意味では良いね。レベルが違うと追いついてしまうし、追いつかなくてもこう言う状況なら砂埃も気になるし」


とレース後に語った様に、安心に、安全に、効率良く練習が消化できる利点を強調した。賛否両論があったものの、今回のような新たな試みは評価できる。来年度も、今回のフィードバックを生かした開催を期待したい。


次戦は10月5-7日に青森県大鰐温泉でXCO#6 DHI#3が開催される。この間に、9月3-9日の日程でスコットランドのフォートウィリアムで世界選手権が開催されるが、日本からは末政実緒とジュニアが参戦するのみで、エリート男子DHI/4Xからは参加者が出ない模様だ。


DH男子エリート決勝
1位 安達 靖 Team Ikuzawa 3:04.971
2位 内嶋 亮 G-cross HONDA UCHIJI 3:05.523
3位 向原 健司 Team KHS 重力技研 3:07.768
4位 和田 良平 RINGOROAD.COM 3:08.607
5位 柴田 幸治 A&F SANTAKRUZ 3:09.239
6位 青木 卓也 TEAM GIANT 3:09.398
7位 永田 隼也 G-CROSS HONDA IDEGAWA 3:10.533
8位 三宅 和之 KHS重力技研 3:13.018
9位 櫻井 孝太 櫻井孝太 3:14.080
10位 大島 礼治 bass sound products 3:15.899


■ランキング
○ナショナルランキング
1位 安達 668
2位 内嶋 627
3位 井手川 535
4位 向原 529
5位 柴田 429
6位 永田 425


○Jシリーズ
1位 安達 478
2位 内嶋 410
3位 向原 385
4位 井手川 356
5位 永田 336
6位 青木 335
M's BLOGより


関連記事
Jシリーズ DH#3 ウィングヒルズ白鳥大会 速報


このエントリーのトラックバックURL:
http://www.bikedaily.net/mt/mt-tb.cgi/559

« MagicMushroomCup 4 ”BBQスペシャル” 募集要項[プレスリリース] | メイン | 日本男子XCO、伝統のMTB五輪枠を失う »

この記事のトラックバック

Powered by
movabletype
movabletype