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2007年07月25日 12:29 written by Teisuke Morimoto

2007全日本MTB選手権レースレポート
2007年 7月 24日
チームブリヂストン・アンカー
鈴木雷太
http://www.raizou.com
mail@raizou.com

開催日 2007/7/22
開催場所 秋田県田沢湖スキー場
大会名 2007全日本MTB選手権
天候 晴れ  路面状況 ドライ
使用バイク ANCHOR XHM9
アイウェアー OAKLEY RADAR 
結果 10位


全日本選手権。
毎年たった一度だけ行なわれる、日本一強い男を決めるレース。
今まで笑えたのはたった2度のみ。それ以外はすべて負けてきた。
またそれらのレースを前に、「怒り」、「恐れ」などなど、色々な副作用に疲れた時期もあったりした。


そして今年は?
最高にノーマルでニュートラルな状態でスタート地点にいた。


もうあそこには立ちたくない、自分の存在をそこから消したいと1年前あれほど強く思ったのに、また同じ場所に立っている自分・・・・・・。


スタートラインから見える空はくっきりとした雲がフワフワと、まるで今の自分を象徴しているかのように心地よさそうに泳いでいる。
それとは対照にスタート前の独特の張り詰めた空気が、自分にはピリピリと痛い。


スタート1分前。
一列前の最前列に立つ仲間はそれぞれの殻に入り込んでいる。
軽く声をかけてそっと手を差し伸べ、あと少しで始まろうとしている死闘のなかでの彼らの健闘を祈る。


その場の緊張が最高潮に達した時にスタートが切られた。
一年前はその線を越えたくないと真剣に思った。このレースがなければいいのにとさえ思った。
今は最前線でなくとも、スタートできることだけで嬉しかった。
重い脚どりもあり、あっという間に抜かれまくり、20番手程度か?
順位や周りのライダーの事は考えず先へ進む。考えたところで出せる力は同じなのだから。
いや、考えない方が自分の中に存在する力すべてを出しやすい。
トップは最初の森を抜けた時にはもうすでに見えない。
2周目に入る頃にはやっとコース場にライダー達も伸び、周りに惑わされることもなくスムーズに走れるようになってきた。


暑い。
とにかく暑い。フィードで水をガンガンかける。
登りももちろん辛い。春よりはだいぶ登れるようにはなったが、感覚的には自分の中のトップとは大きなズレがある。期末テストの勉強をしていないのにテストがやって来てしまったことを後悔するようにメゲながら登る。
まあ当たり前に辛いけど、ライゾウコムオリジナルTシャツを着たり振ったりしながら応援してくれるファンがいたりして、かなり励まされ、気持ちが和んだ。


そんな登りを終えてしまえばここのコースは最高に楽しい。
ハイスピードなストレートや、ブナが生い茂る森の中、常に小刻みなアップダウンで右へ左へと曲がっていく。コーステープ内の木の根や岩を交わしながら最速ラインをトレースして突き進む快感。


リズム。
何所のコースにも上手く走るにはリズムが大切だ。
キツイ登りで脚の力を使い、全身をバネのようにして使い下るここのコースはまさにRockだった。
Rockが体中に鳴り響くかのような感覚で突き進む。


20位-12位―9位―8位とジャンプアップを重ね、ファイナルラップに入る頃にはすぐ前にもライダーが見える。
脚はレース中盤から攣りそうだった。
気がついたときには目の前のライダーめがけてダッシュをしていた。正確にはしてしまった。
この状況ではタブーなのに勝手に身体がそうしてしまった・・・・。
一気に差を詰めたことにはなったが、クランプを告げるバイブレーションと共にカラータイマーを早めただけだった。
一番長い林道登りを何とか終えると、差は3秒程度まで詰まった。それと同時に5位まではポジションアップできそうな状況も手に入れた。
そしてコース最高地点から一気に下るが、残り2kmで残念ながら身体はThe END。
両ふくらはぎが攣ったのをきっかけに走行不可となり、急停止して回復を待つ。
やっと走り始めると一人にパスされてしまう。
そろそろ下りも終わろうかというところで、また両ふくらはぎが攣ったのをきっかけに両太ももと両ハムストリングが攣り、立つことさえも許されずコース上に無様に倒れた。
倒れた衝撃と体勢が悪く、前腕と上腕三等筋も攣ってしまった。
もう動けない。
情けないけど、これが今の実力で自分自身だ。


田沢湖町にきて毎日寝る前にクワガタを捕りに行った。
暗闇の中工事作業の真っ白な強い電灯にあつまるクワガタたち。
あっという間に8匹を捕獲したけど、その時の様が脳裏に浮かんだ。
脚と手を天にバタつかせる様は電灯の下にひっくり返っているクワガタのようで、今の自分と同じだった。
そう思えたら笑いが出てしまった。
笑う筋肉も最高に痛く注意しないとそこも攣りそうだ。


長い時が過ぎ再度二人にパスされ、ヨチヨチ歩き程度のスピードでも今にも攣りだしそうな全身をかばいながら、長くそして楽しかった全日本は幕を閉じた。
ゴールが近づくにつれ、終わって欲しくないとさえ思えるほど、楽しいレースだった。


ちょうど一年前、もうこの場に立つことはないだろうと、スタート直前戦友3人と握手を交わした。
あれから1年。自分の中でのレーススタイルが激変した。
「勝つためだけのレース」から「LifeStyleの中でのレース」になっている現在。
昔偉大な選手が「レースは人生そのものだ」と言った。
僕の中でレースが人生なのかどうかはまだ分からないが、Lifestyleになりつつある今現在、人生の一部となっていることには変わりはないと思う。


ANCHOR  http://www.anchor-bikes.com/
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