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Marzocchi ALL MOUNTAIN II インプレッション

2006年06月09日 17:50 written by Teisuke Morimoto

以前、レビューを行ったALL MOUNTAIN IIだが、今回は富士見パノラマに持ち込み、Cコースにて実走インプレッションを行った。下り寄りに性格が振られたALL MOUNTAIN IIが最も得意とするコンディションで、どのような実力を見せてくれるのだろうか?


バイクへのインストール
フォークを装着したバイクは5インチトラベルを持つアイアンホースMK3だ。このモデルはオールマウンテンモデルだが、どちらか言うとXC寄りに設計されており、フロントフォークは100mmストロークのXCフォークがオリジナルで装着されている。従って、ALL MOUNTAIN IIのストロークを最短の115mmに設定したとしても、単純に肩下の長さが15mm上がってしまい、ハンドルやBBハイトが高くなってしまう弊害が予想された。


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しかし、ステムの下に2枚あった10mmスペーサーの1枚をステムの上に移動し、ハンドルポジションを10mm下げた結果、BBハイトの高さもハンドルの高さもまったく違和感が無く仕上がり、ポジション的な問題は簡単に解決できた。精悍なブラックのアウターケースとインナーチューブにより、バイクの見た目も激変する。山に持ち込むのが非常に楽しみだ。手でハンドルを押し込むとフォーク内部でオイルの踊る音が聞こえ、オープンバス方式のフォークであるのを実感する。


マルゾッキ伝説
カナダのフリーライドシーンを良く知るライダーに聞いたことがあるが、ウイスラーバイクパークでマルゾッキ以外のフロントフォークを使っていると、


「おまえのフォーク、手が疲れるだろ」


と言われるというのだ。多少は誇張されているには違いないが、実際にウイスラーでマルゾッキの装着率は非常に高く、M印はフリーライドシーンを象徴するものとなっている。DHではファビアン・バレル、セドリック・グラシア、DJではポール・バサゴイティア、ジョン・コーワン、4Xではブライアン・ロープス、FRではロビー・ボードン、リッチー・シュリー、ウエイド・シモンズ、トーマス・ヴァンダーハム、トライアルではライアン・リーチなど各カテゴリーのトップライダーが使用する。


なぜこのような伝説が作られるのかというと、それは同社のポリシーが生んだものだろう。マルゾッキのフォークは他社の同じカテゴリーのフォークに比べ、5〜10%ほど重い。これは歴然たる事実だ。


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この写真はディスクブレーキのキャリパーを取り付けるポストマウント部だ。実際に目にすると、驚くべき肉厚を持っている。通常、ほとんどのフォークはインタナショナルスタンダード台座を採用し、アダプターを介してキャリパーを取り付ける。確かに、この方法はアウターのデザインをシンプルにすることができ、簡単に軽量化が実現できる。しかし、その代償として剛性を失うことになる。ポストマウント方式はダイレクトにブレーキングのパワーをフォークのレッグで受けることができるが、インターナショナルスタンダードは2本のボルトで取り付けられたアルミのアダプターでその力を受けることになる。どちらがスマートな方法であるかは、ここでは判断しない。どちらも一長一短があるだろう。しかし、これが「売るための軽量化はしない」というマルゾッキの考え方なのだ。そのポリシーがそのような伝説を生んでいるに違いない。


富士見パノラマCコースへ
駐車場からゴンドラへ向かう時、舗装路の短い登りがあるが、ここでいきなりETAと呼ばれるリバウンドロック機能の恩恵に与ることになる。乗車位置で左クラウン上に赤いレバーがあり、これを回すことにより、フォークがストロークする度に少しずつ縮まって行き、ペダリングによる不必要な動きを抑制してくれる。ハンドルの高さも下がるため、ポジションも登りに適したものとなり、以外と登れるフォークであることが分かる。これは嬉しい発見だ。


ゴンドラから下りると、すかさず左レッグ下にあるTASと呼ばれるストローク調整機能のダイアルを右に回し、ストロークを115mmから135mmに伸ばす。これも非常に簡単だ。そして、同行してくれた増田直樹選手の後ろについてCコースを下り始めた。


まず驚くのはそのスムーズな動きだ。オープンパス方式はインナーチューブがストロークする度にオイルでその表面が潤滑される。超硬質スペシャルコーティングされたインナーチューブと相まって、オープンバス方式の美点を非常に良く表している。


Cコースのコーナー手前はブレーキングによりコースが荒れ、ウオッシュボード状となっていることが多い。実は以前使っていたALL MOUNTAIN IIよりも700gほど軽量なXCフォークでは苦痛以外の何物でなく、思うようなラインもトレースすることができず、後半はハンドルにぶら下がっているだけの状態だった。そのため、リアサスペンションにまで不満を持つことになり、Cコースを快適に下るには少々、このバイクには荷が重いのだろうか?という結論を昨年に下していた。しかし、その印象は180度を覆された。XCフォークとALL MOUNTAIN IIを比べるのはフェアでは無いが、このフォークではグリップを軽く握り、サスペンションにある程度任せながらも、自分の狙うラインをきっちりトレースすることも出来る。多少荒れた場所が自分の狙うラインの上に存在しても、思い切って行ってしまっても大丈夫だ。不愉快なリム打ちも無い。また、同時にリアサスペンションに対する不満も霧散してしまった。


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しばしばこの手のインプレで「自分が上手くなったように錯覚させる・・・」という表現がされるが、このフォークに関しては当てはまらない。「自分の本当の実力を引き出してくれる・・・」と言うべきだ。手が全然疲れないということは無い。しかし、以前よりも高いアベレージで下りながらも、圧倒的に肉体的な疲れが少なくなる。正直、自分の限界を超えてしまっていると感じて、スピードが上がり過ぎないよう、自分にブレーキを掛ける必要があったほどだ。ブレーキング性能も特筆すべき点だ。しっかりとブレーキが効くため、安心してスピードを上げることができる。Cコースを下り終えた時、心地良い疲れがあったものの、満足できるランを終えた喜びの方が大きかったのは言うまでも無い。


今回、フォークをスイッチしたことにより、700gの重量増となった。重量は絶対だ。自転車にとって、重量というのは非常に重要視される要素で、違いなく大きなデメリットだ。数十gの軽量化のために数万の投資をするライダーも少なく無い。しかし、このALL MOUNTAIN IIはその重量増によって実現した思い通りのライン取り、安心できるブレーキング、スムーズなストロークにより、純粋な乗る喜びを提供している。


このフォークはラダー、ドロップを攻めるハードコアライダーのためだけではない。快適に、楽しく下りたいというファンライダーにこそ勧めたい。あなたの真の実力を引き出してくれるだろう。


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今回アテンドしてくれたDTP勤務の増田直樹選手。


マルゾッキ
http://www.marzocchi.jp


ダイアテックプロダクツ
http://www.diatechproducts.com


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